放射線看護のネクストステージAI・多職種との共創
2026年11月28日(土)~29日(日) 弘前大学大学院保健学研究科

ご挨拶

一般社団法人日本放射線看護学会第15回学術集会
学術集会長
弘前大学大学院保健学研究科 冨澤 登志子

記念すべき第15回日本放射線看護学会学術集会を開催するにあたり、皆様にご挨拶申し上げます。本学術集会のテーマは「放射線看護のネクストステージ AI・多職種との共創」です。

私たちが「放射線看護」という新たな専門分野を創造し、歩み始めて15年が経とうとしています。この道のりは、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故という未曽有の災害への対応から始まりました。放射線リスクコミュニケーションの重要性を痛感し、平時の放射線診療から放射線に関わる災害時まで、看護職が果たすべき役割の枠組みを明確化してまいりました。放射線看護専門看護師も誕生し、看護の質を高めるために活発な活動が展開されつつあります。しかし、事故から十数年が経過し、風化という課題や、国際社会における理解の格差、放射線に関わる基礎教育での教育時間や人材の不足など、私たちは今なお多くの課題に向き合っております。

そして今、日本は少子高齢化と医療人材不足という大きな構造変化の渦中にあります。医師の働き方改革によりタスクシフトが加速され、人材不足の中、専門分野の壁を越えた連携をなくして質の高い医療や看護の提供は不可能な状況です。さらに、AIを取り入れた技術革新の波は、私たちの専門性そのものに「未来の在り方」を問いかけています。

このような時代だからこそ、私たちは立ち止まるわけにはいきません。本学術集会は、まさに放射線看護の新たな航路を描くための出発点です。AIという知性のパートナーを得て、私たちの専門性をいかに深化させるのか。人でなければ提供できないケアの本質とは何か。多職種、時には異分野の人々と手を取り合い、いかにして複雑な課題を乗り越えていくのか。そして、日本で生まれたこの放射線看護を、世界へ発信し、普遍的な知へと昇華させることはできるのか。

15周年の節目に、本分野の礎を築き、発展に貢献してこられたすべての皆様に心からの敬意と感謝を申し上げます。皆様の知見と熱意が交差するこの場で、未来を切り拓く活発な議論が生まれることを確信しております。この学術集会が、放射線看護のネクストステージを共創する、確かな一歩となることを心より願っております。